ハワイの海を司る創造神 KANALOA。そしてその言葉には「自信」の意味も含まれる。揺るぎない自信に溢れた彼の眼差しの先にあるのは栄光のゴールか、否、その向こう側か。。本日の名馬烈伝はロードカナロア、またの名を「”電撃”のスプリント王」見参!
2008年3月に誕生した1頭の鹿毛馬。父キングカメハメハ、母レディブラッサム。幼い頃から筋肉質でガッチリした体躯を持っていた。名をロードカナロア。後に、スプリント界、いや世界の絶対王者『龍王』として名を馳せる事となる。
母レディブラッサムは気性が荒く、その個性を受け継いでしまう懸念があったカナロアだが、それは杞憂に終わる。むしろそれは闘争心や勝負根性に転化されたのだ。こうして母とは逆に、カナロアの性格は大人しく従順で、非常に賢い馬へと成長していった。もちろんトップスピードや瞬発力は相当なハイレベルで備えていたのだが、カナロア最大の武器と言えば、鞍上の指示を待ち、その場で我慢出来る”賢さ”にあったと言えるだろう。それがスプリンターとしての能力と完璧に、しかも高次元で噛み合ったのだ。正に「スプリンターの完成形」と言えるだろう。
基本的にスプリンターと言うのはトップスピードを武器に先行して押し切る正統派タイプか、緩急をつけるのが苦手で、後方から流れを追走している内にエンジンが掛かり、最後にバテた馬を交わすバテ差しタイプに分けられる。しかし、ロードカナロアはその賢さと操縦性の良さから、スプリント路線では異色と言っても良い「あらゆる展開に対応できるタイプ」だった。
「電撃の6F」と言う言葉がある。日本が誇る短距離戦G1、高松宮記念とスプリンターズS。主にこの2レースの事を指す言葉だ。1200m(6ハロン)のレース、中でもG1では国内でもトップクラスのスピード自慢が集まり、ハイレベルな争いとなる。そのスピードの速さを形容して「電撃の6F」と名付けられた。そして、彼はこの”電撃”の6F戦で無類の強さを見せつけたのであった。高松宮記念を1度、スプリンターズSを2度制覇しているカナロアは正に”電撃”のスプリント王の名に相応(ふさわ)しかった。
そして、カナロアはマイル戦(1600m)にも果敢に挑戦する。2013年G1安田記念では、距離不安を囁かれながらも並み居るトップマイラー達を撃破し、マイル王の座をも奪い去ったのだ。
そして、カナロアのキャリアで最高の栄誉となったG1香港スプリント連覇。「香港スプリント」とは世界で名を馳せるトップスプリンター達が集まる、まさしく群雄割拠の舞台である。ロードカナロア、香港表記名『龍王』。この舞台で龍の咆哮が響き渡る。伝説のレースとなったラストラン、2013年香港スプリントを振り返る。
研ぎ澄まされた肉体、瞳に宿った龍の闘志、気合乗りも十分。王者の風格。カナロアはラストランを生涯最高の状態で迎えた。陣営、騎手ともに確たる”自信”を持って挑んでいた。
抜群のスタートから好位3番手を進むロードカナロア。道中では抜群の手応え。むしろ行きたがるカナロアに鞍上岩田は「行くな」と手綱で指示を出す。素直に従うカナロアの折り合いは絶好。肉体と精神、そして知性までもが完璧に融合していた。全く危なげなくレースを進めて行くカナロア。そして最高の手応えで向かえた直線。鞍上のゴーサインの鞭が入ると即座に反応したカナロアは1馬身、2馬身と後続をみるみる離して行く。最後はほぼ持ったままの5馬身差で突き抜けるのであった。世界最高峰の舞台、しかも短距離戦での圧倒的な5馬身差。
見たか、世界よ!これが日本が誇る”電撃”のスプリント王、ロードカナロアだ!!
生涯成績(13.5.1.0)
馬券を外した事は一度足りとも無かった。「絶対的な安定感」は「絶対的な実力の証明」龍王は紛れもなく”龍王”だったのだ。
知性に溢れるその瞳。一点の曇りもない自信に満ちた彼の眼差しは何を見る。栄光のゴールの先に果てしなく広がる未来か否か。種牡馬となり、新しい命達がスプリント界を席巻するその日まで。。ロードカナロアは切り開く、短距離界の希望の道を。。
~完~
以下の対応が可能です。
※ミュート機能により非表示となった投稿を完全に見えなくなるよう修正しました。これにより表示件数が少なく表示される場合がございますのでご了承ください。