2024年度ベネチア国際映画祭金獅子賞受賞作品です。
監督はスペインの監督、ペドロ・アルモドバル。ペネロペ・クルスとよくタッグを組んでいる監督です。実力のあるベテラン監督。主演はティルダ・スウィントンとジュリアン・ムーア。ティルダ・スウィントンは年齢、性別不詳な感じの独特な存在感のある女優。ジュリアン・ムーアは幅広い役をこなせる演技派女優です。
内容は末期癌に侵されたマーサ(スウィントン)が安楽死を望み、死ぬ時は隣の部屋に誰かにいて欲しいと、友人のイングリッド(ムーア)に依頼するというもの。
とにかく主演二人の演技が素晴らしくて、すっかり二人の世界に呑まれてしまいました。下の写真の詩は、元々ある詩(作品中に出てきます)を、この映画の内容に合わせて少し変えたものです。これが最後に出てくるのですが、胸に、正に雪が沁みてくるようで、ジワジワ涙腺も緩みました。
しかし!鑑賞後はだんだんと本作に対して反感を覚えるようになってきました。
「安楽死なんて違法行為に人を巻き込むな!しばらく会ってなかった友人にそんな危ない役を頼むなんておこがましい!」
「この癌は自分で終わらせる!なんて威勢のいいこと言う割には、その時は隣の部屋に誰かにいて欲しいなんて甘えてる!一人で死ねないのなら、ホスピスに行きなさい」
「戦場記者(マーサは戦場記者)ってあんなにお金持ってるの!?最期の地に選んだ貸し別荘はとっても素敵で、家賃高そう…。入院してた病室も個室で高級そうだったし。随分恵まれた最期だこと。それにそうよ、この別荘事故物件になっちゃうじゃない!」
などなど僻みのような捻くれた気持ちになってきました。しかしこれは言わばクソリアリズム。本作はファンタジーとして見るのが良いのかもしれません。
脚本も良くできていて、地味だけど小さなサスペンスを仕掛けていて最後まで退屈しないで見られます。そして本作のファンタジー色を強くしている要因でもありますが、家具、インテリアがおしゃれで素敵です。色使いなどハイセンス。
でもまあ、この暗くて地味な話を見られる映画にしてるのは、やはり主演女優二人の達者な演技でしょう。宗教にハマるように、二人の女優の芝居に心を持っていかれます。鑑賞後は宗教から目が覚めるような思いがしますが(笑)
興味があれば、是非劇場でご覧くださいませ。
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