映画『黒牢城』
2026/06/24 20:57

黒沢清監督初の時代劇映画『黒牢城』を観て参りました。
黒沢清は好きな監督で、時代劇サスペンスというのも惹かれ、観ることにしました。
織田信長に反旗を翻した荒木村重が籠城戦を企てるのですが、そんな中で四つの殺人事件が起こります。一つ一つ調べ、地下牢に幽閉している黒田官兵衛に謎解きしてもらい、四つの殺人事件の裏で糸を引いている者を探り出すという話。
謎解きが細かくて理屈っぽく、弱冠頭が疲れ、ついていけなくなるかもしれません。しかし菅田将暉演じる黒田官兵衛が謎解きするシーンだけしっかり観ていれば、話についていけると思います。菅田将暉の官兵衛、まとめ役なので。本来ならこういう説明役のような人物はあまりよろしくないのですが、本作のような細かい理屈が張り巡らされているような話には、有り難い人物です(笑)また菅田将暉も器用に演じ、台詞も上手いので、説明されてる感じはありませんでした。
時代劇サスペンスとして娯楽性のある映画でありますが、やはり黒沢清監督作品、そんな娯楽映画を通して何が言いたかったのか、つまりテーマは何かを考えた時、頭を捻ってしまいます。やはり難解だなと思いました。真犯人がなぜこんな殺人事件を起こしたのか、長ゼリフで説明しますが、その動機が自分の範疇を超えていて、はあ…そうですかってな感じになってしまいました(笑)
鑑賞後、自分なりに本作についていろいろ考えましたが、本作のテーマは「どんな悪い出来事も天罰なんかではなく、みな人間の仕業である」ということかなと、思いました。そして無血開城を試みる村重を主人公にしたのは、今世界で起こっている戦争で犠牲になって血を流している人々を憂えているのではと思いました。
本作を作るにあたって、黒沢清監督は溝口健二監督の『元禄忠臣蔵』を参考にしたそうです。この作品は戦中に作られた映画です。リアリズムを重視していた溝口監督は「本当に人が斬れますか」という理由で、せっかく吉良邸のセットを美術スタッフが作ったのに、討入のシーンを撮らなかったのです。雪の別れで内蔵助が瑤泉院の所に置いていった巻物に討入の作戦が書いてあり、それを瑤泉院が読むといった内容に変えました。これは溝口監督の反戦の意が込められているのではと考えられてます。それと似たようなものを『黒牢城』にも感じました。
やはり黒沢清監督は深い…。なかなかの力作でした。

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